転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


471 あのね、ドーンって叩いちゃダメなんだよ



 みんなでケーキも食べたし、もう夕方に近くなってきたって事で今日は宿屋さんに変える事になったんだ。

「それじゃあ私たちは、元の服に着替えてきますね」

 そしたらさ、何でか知らないけどニコラさんたちが元の服に着替えるって言い出したんだよ。

「ええ、せっかくかわいい服を着てるのに」

「確かにかわいい服かもしれないけど、慣れていないからちょっと恥ずかしくてね」

 だから僕、そのまんま帰ればいいのにって言ったんだよ?

 でもニコラさんは、こんな服着た事無いからいつもの服の方がいいんだって。

 それにね、できたら変える前にもう一個やってみたい事があるって言うんだ。

「何かやるの?」

「やると言うと……できたらルディーン君に、私たちの戦い方を見て欲しいのよ」

 ニコラさんたちはね、村から出てきて冒険者になったもんだから、戦い方を誰かにちゃんと教えてもらった事が無いんだって。

 だから僕に変じゃないか、見て欲しいんだってさ。

「僕が見るの?」

「ええ。グランリルの村の子は、冒険者ギルドに登録する前にみんな親から狩りのやり方を習うって前に聞いた事があってね」

「私たちも同じように教えて貰えたら、もっと狩りが鵜甘くできるんじゃないかって前から話してたのよ」

 僕の村の近くにある森、このイーノックカウよりも強い魔物がいっぱいいるでしょ?

 それなのに村の子がみんな、そんな魔物を狩れるくらい強くなるだもん。

 きっと特別な教え方があるんじゃないかなぁって、ニコラさんたちは思ってたんだって。

「う〜ん、そんなに変な事、みんなやってないと思うけどなぁ」

「それならそれでもいいのよ。でも見てもらえたら、もしかするとおかしな所が見つかるかもしれないでしょ?」

 ニコラさんたちはそう言うとね、僕に向かってお願いしますって頭を下げたんだ。


 ニコラさんたちのお着替えが終わるのを待って、僕たちはお家の横にある広場に移動したんだよ。

「僕、ここで見てればいいの?」

「ええ。私たちがいつもやってる茂木線をやってみるから、気が付いたところがあったら教えてね」

 ニコラさんたちはね、いつも使ってる剣を鞘がついたまんまの状態で構えたんだ。

 そうしないと、もし当たったら大怪我しちゃうからね。

「それじゃあ、まずは私とユリアナで始めるわよ」

「いつでもいいわよ」

 でね、まずはニコラさんとユリアナさんんもふたりで模擬戦を始めたんだ。

 そしたら二人とも、結構思いっきり戦い出したもんだからちょっとびっくり。

「ほう。これはまた、激しい戦いじゃのぉ」

 それは一緒に見てたロルフさんもおんなじだったみたいで、ニコラさんたちの模擬戦をすごいねって。

「わしの目から見ると、二人ともなかなかの腕前に見えるのじゃが……ルディーン君から見て、どうなのかな?」

「う〜ん。僕やお兄ちゃんがあんなふうにやってたら、きっとお父さんに怒られちゃうと思うよ」

「えっ!?」

 ロルフさんに聞かれて、僕はあんなんじゃお父さんに怒られちゃうって言ったんだよ。

 そしたらさ、僕たちと一緒に見てたカテリナさんがすっごくびっくりしたお顔で僕の方を見たんだよね。

「ニコラたちの戦い方、そんなにダメなの!?」

 でね、そんな事をおっきな声で言ったもんだから、それに気が付いたニコラさんたちも模擬戦をやめてカテリナさんになになに? って声を掛けたんだ。

「カテリナ。そんなにダメって、ルディーン君はなんて言ったの?」

「えっと、あんな戦い方をしていたら、お父さんに怒られるって……」

 流石にそこまで言われると思ってなかったのか、ニコラさんたちはすっごいお顔で僕の方を見たんだよね。

「怒られるって、私たちの戦い方、そんなにおかしかったの?」

「僕、魔物の狩り方しか教えてもらってないから、戦い方なんて解んないよ」

 僕は魔物を狩った事はあるけど、他の人となんて戦った事無いでしょ?

 だから戦い方が変だったの? って聞かれても解んないんだよね。

「えっ? でもさっき、あんな戦い方をしていたらお父さんに怒られるって言っていたじゃない」

「違うよ。あんな風にやってたら怒られちゃうってだけだもん」

 カテリナさんが違うこと言ったもんだから、僕はちゃんと違うよっと教えてあげたんだ。

 でもね、それを聞いたカテリナさんは、頭をこてんって倒したんだよ。

「えっと、それのどこが違うの?」

「全然違うよ。だって僕が言ってるのは、剣の使い方の事だもん」

 ニコラさんたちはね、すっごく早く動き回ってたんだけど、剣の使い方が全然だめだったんだよね。

 だから僕、あんな風にやってたら怒られるよって言ったんだ。 

「剣の使い方? 私としてはちゃんとしていたつもりなんだけど」

 でもね、それを聞いたニコラさんはどこが悪いのか解んなかったみたい。

 だから僕に、何処が悪かったの? って聞いてきたんだよね。

「あのね、あんな振り方してたら、ブルーフロッグの背中だってちゃんと切るれないでしょ? だからダメなんだよ」

 だからあんなんじゃブルーフロッグの背中の皮も切れないよって教えてあげたんだけど、そしたらニコラさんはもっと解んないってお顔になっちゃったんだ。

「ブルーフロッグの背中? えっと……いつもちゃんと斬れていると思うんだけど」

「えー、でもあんな風に振ってたら絶対切れないと思うんだけどなぁ」

 でもね、ニコラさんは今のまんまでも切れるよって言うんだよね。

 だから僕、切れるはずないのになぁって、頭をこてんって倒したんだ。

 そしたらさ、そんな僕を見たロルフさんが、隣にいたお爺さん司祭様に聞いたんだよ。

「ラファエルよ。ルディーン君が何を言いたいのか、そなたは解るか?」

「うむ。これはあくまでわしの推測だが、ルディーン君はそのような振り方ではブルーフロッグの背中を両断できないといいたいのではないかな?」

「両断ですか!?」

 ロルフさんとお爺さん司祭様のお話を聞いて、ニコラさんはすっごくびっくりした声を出したんだよ。

 でもさ、僕はお爺さん司祭様のお話が難しくって何のことか解んなかったもんだから聞いてみる事にしたんだ。

「ねぇ、司祭様。りょうだんって何?」

「ふむ。ルディーン君には少々難しい言い回しであったかな? 両断と言うのはな、真っ二つに切り裂く事を言うのだ」

 そっか、りょうだんって切っちゃうって事だったんだね。

 でもあれ? じゃあ何でニコラさんはびっくりしたんだろう?

「ねぇ、ニコラさん。なんでびっくりしたの? 僕、そんな風に振ってたら切れないよってちゃんと言ったよね?」

「そっか。ルディーン君はそういう意味で斬るって言っていたのね」

 ニコラさんは、今のまんまでもちゃんと切れるよって言ってたでしょ?

 でもあれって、弾かれたりせずに切れてるよって言う意味だったらしいんだ。

「そう言われると確かに私たちでは傷をつける事はできても、背中の皮を切り裂く事はできないわね」

「でしょ? だってニコラさんたち、ちゃんと剣を振れてないもん。それにね、切ってるんじゃなくって叩いてたし」

 僕がそう言ってうんうんって頷いてたら、それを聞いたニコラさんがどういう事? って聞いてきたんだよね。

 だから僕、剣ってちゃんと使わないと切れないんだよって教えてあげたんだ。

「ニコラさんって、さっき見てたら剣を振る時にちゃんと刃が相手に当たってなかったんだ」

「刃がちゃんと当たっていない?」

「うん。僕も初めて剣の練習をした時にお父さんから教えてもらったんだけど、剣ってきちんと当てないと魔物の硬い皮は切る事ができないんだって」

 ニコラさんたちってさ、剣が相手にどう当たってるのかをあんまり気にしてないみたいなんだよね。

 だから当たった時にちょっと斜めになってたりするから、うまく切れないんじゃないかなぁって僕、思ったんだ。

「それにさっき見たら、二人とも剣で叩いてたもん。あれじゃ切れないって思うよ」

「えっと、一応斬っているつもりだったんだけど……」

「あのね、これはお母さんに教えてもらったんだけど、切る時はすーって引かないとダメなんだよ。でもニコラさんたち、剣をドーンとあててただけじゃないか」

 これはね、僕もお母さんに教えてもらうまではニコラさんとおんなじようにドーンって当ててたんだよ。

 でもお肉を切る時に、刃物はすーって引きながら切らないとうまく切れないんだよって教えてもらったでしょ?

 だから今は切る時にちゃんと引くようになったから、前よりもよく切れるようになったんだ。

「なるほど、ただやみくもに剣を振っているだけじゃダメなのね」

「うん。僕の村だとね、ちゃんと剣を振れるようになるまで練習してから狩りに行くんだよ。だからみんな、狩りが上手になるんだ」

「そっか。じゃあその振り方から教えてもらわないとダメね」

 ニコラさんはそう言うとペコって頭を下げて、僕に教えてねって頼んできたんだ。



 ニコラさんたちですが、戦闘時の立ち回りとかは特に問題は無いんですよ。

 でも基礎をすっ飛ばしていきなり実践に出ているため、ルディーン君が最初にハンスお父さんから教わったような剣の使い方や魔物の挙動を読むというような基礎を全く知りません。

 実を言うと、そういう細かい所が後々実力を大きく左右する事になるんですよね。

 まぁそれを知ったからと言ってすぐに強くなるなんて事は無いですが、ルディーン君から教えてもらう事で今よりは確実に強くはなる事でしょうね。


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